Peridot Keeper Societyの起源
紫色のペリドットのキーがひげを生やした友達にお別れを告げてから数ヶ月が経った。悲しみはほかの人たちにも次々と広がったが、それは一時的なものだった。人間たちは、自分もあのひげを生やした男と同じだということを理解していたのだ。いつか…たぶんそう遠くない未来に、自分のペリドットも去っていってしまうのだろう。ペリドットが持つ強い動物の本能を抑え込める者など一人もいない。人間たちは、少なくとも心の中では受け入れた。自分の手を離れたペリドットが戻ることはないけれど、記憶には残り続ける。幸せな時間は、思い出しさえすればそこにあるのだ。
この頃には、人間たちは少なくとも数十匹はペリドットの世話をするようになっていた。そのほとんどが新しいすみかへ旅立ったが、一部の幼いペリドットたちは人間の世話を受けていた。人間たちは徐々に行動範囲を広げていたものの、ひらけた土地はまだわずかだった。偶然、遊牧民たちがペリドットを連れた人間の姿を目にした。ペリドットに心を奪われた遊牧民は、ともに繁栄するという希望を胸にその地に留まり、この不思議な生き物と絆を結ぶ決心をする。そして彼らは繁栄した。
人間が数時間以上、ペリドットのそばを離れることはめったになかった。彼らは、あの夜、森の中でひげの男とキーに起きた出来事から学んでいた。そして、同じことは二度と起きてほしくないと願っていた。
だが、願いどおりにいくとは限らない。
ある日、激しい風が彼らの土地を襲った。でこぼこで素朴な木製の鉢が風にさらわれ、茂みや、ぬかるみや、小川の中へと消えていった。数えきれないほどの青いトマト、トゲのあるナシ、ネギが飛び散り、影も形もなくなってしまった。あとには茎1本、種1個さえ残っていなかった。人間たちは失くしたものをもう一度集めようとしたが、うまくいかなかった。この時、合計28人いた人間たちは、それぞれ食べ物を探しに出かけた。誰もが1時間もせずに戻れるだろうと思っていた。
だが、果物や野菜を見つけるには、森の奥深くまで行かなければならないことに人間たちはそれぞれ気づいた。ある人間が果物をひとつ見つけると、すぐ近くでふたつ目が見つかった。その近くに、もうひとつ。その近くにも、さらにもうひとつ。森の恵みは豊富だった。ほとんどの人間は、仕事を終えてすぐに戻ろうとしたが、その頃には日が落ちて帰り道がよく見えなくなっていた。それ以外の人間は、ほかにも何かあるかもしれないと考え、さらなる奥地に進んでいった。ほんの数人が居住地に帰り着いた時には、すでに次の日の朝になっていた。そして彼らを待っていたのは…
深い眠りに陥っているペリドットたちだった。大きなまぶたが、かすかにふるえていた。あるものは、優しく。あるものは怒りで規則正しくふるえていたのだ。息を吸い込むたびにお腹がふくらみ、吐くたびにへこんだ。いびきも聞こえた。いや…いびきと言うよりは、小さく響く高い鼻の音で、しばらく聞くとぼんやりとしたメロディが感じられた。ペリドットたちは、大きな輪になって眠っていた。それは、色とりどりで虹よりも鮮やかに輝いていた。
だが、その穏やかさは偽りであり、幸せをもたらすことはなかった。ペリドットたちが目覚めることを拒んだからだ。
人間たちはささやきかけ、ペリドットのお腹をなで、騒々しく手を叩き、足を踏み鳴らした。だが、ペリドットは誰も目覚めなかった。収穫物を手に戻ってきたほかの人間たちも、目に入るすべてのペリドットを介抱し、同じようにささやいたり、お腹をなでたりした。それにもかかわらず、いびきは増していくばかり。どんどんといびきの音はそろい、大きくなっていった。
最後に戻ってきた人間が到着した時には、誰もが眠りにつくペリドットをそっとつついたりしながら必死に介抱していた。そんな状態が数時間続いたあと、白い手足で黄色いカラダ全体に白い丸の模様を持つペリドットのオロが人間の腕の中であくびをした。そして、オロのまぶたがゆっくりと開いた。その時、オロの目に映ったのは感謝に満ちた親友の笑顔だった。オロはとてもうれしくなって、回転しながら飛び回り、赤黒い色のペリドットのお腹の上にどすんと降りた。突然起こされたそのペリドットはあわてふためき、ほかの仲間を驚かせて眠りから呼び覚ました。
どのペリドットも人間の姿に喜び、親密なつながりを感じて幸せに浸った。その夜、何としてもペリドットの集団睡眠は防ごうということで人間たちの意見が一致した。当時の人間たちは、自分の考えを表すための言葉をほとんど持っていなかったが、ペリドットのための三つの誓いを神聖なものとして扱うべきだということはよくわかっていた。
#1: If humans need to explore surrounding lands without their Peridots, at least half of them must stay behind to assure the safety and comfort of their magical friends.
#2: No human can be gone from their Peridot for more than one day.
#3: Humans must always show their Peridots love and kindness and help them prosper as a species.
Thereafter, the humans called themselves Keepers of Peridots. This designation – similar to “parent” or “best friend” – was not just a title but also a promise, and it endured without dispute or uncertainty.
Every Peridot was protected.
And cared for.
And loved.
Peridot Keeper Societyのメモ:
Dear Reader,
PKS here. We just wanted to pop in and update you on this newly restored chapter of the Peridoctus.
We believe that the Peridot species, when left unattended by every keeper within the same time frame, will fall into a mass hibernation. In fact, Fasciana’s pages (which we’ll reveal over time) indicate that Peridots, in various stages of human history, have gone through mass hibernation.
We should also note that the Peridot Keeper Society is somewhat a successor of the “Keepers of Peridots,” but this is coincidental.
10年以上前、モーリタニアで行われていた遺跡発掘調査の最中に研究者たちがPeridoctusという題名の損傷した書物を掘り出しました。新たな発見に彼らは困惑しましたが、最終的にはこの動物寓話集が人類の歴史に与える影響について疑念を抱くようになりました。その本に書かれた、現実離れした生き物の説明が嘲笑されてしまったのです。研究者たちは近所の古本屋にその書物を売りました。それから10年間、書物は「奇妙なもの」コーナーで埃を被っていました…ニュージャージー州の未知動物学者(ダブニス・プライヤー)が偶然休暇中に見つけるまでは。
書物の内容に魅了された彼は、ペリドットは架空の動物ではなく、実在すると確信するに至りました。プライヤー氏は、Peridoctusの生き物と、その謎めいた著者のファシアナ・デ・サジア(別名、賢者ファシアナ)について世界中に伝えることをライフワークにすると誓ったのです。
Upon his return to the U.S., Mr. Pryor posted self-made illustrations of the species in online forums. These devotees, though small in number, informally called themselves the Peridot Appreciation Society. Passionate as they were, these members tirelessly scoured the internet for any evidence of Peridot existence … but to no avail.
Then one day in 2022, there was a sighting of a Peridot in Malaysia. And then in Singapore. Soon thereafter, countless people spotted Peridots in cities and towns across Norway, Denmark, and Australia. Soon, snapshots of colorful Peridots flooded the online forum. This, the watershed moment the Society was waiting for.
Now people all across the world needed guidance to care for their new friends, so they turned to the Peridot Appreciation Society. Its members possessed instant access to the Peridoctus and, with it, a unique look into the history and behaviors of the species. Steadily, the members spouted off advice and best practices to all those taking care of Peridots.
Everyone in the Society quickly felt a growing need to define their role. “What do we call ourselves?” they asked online. “Owners?” Nah – too one-sided. “Parents?” Well, humans didn’t give birth to the Peridots, so …
On the forums, people often used the word “keep” to express their daily tending to their Peridots. To keep Peridots safe and secure. To keep an eye out. To keep Peridots developing the way that they should be. The role was now clear: Keeper.
And so, the Peridot Keeper Society (“PKS”) was born.
The Keepers of Peridots remain an inspiration to us, particularly with their three vows. We took them a step further to define the roles of the PKS as follows: to educate people on how to care for Peridots; to plan and promote events and activities for humans and Peridots to participate in together; and to preserve Peridot history through the restoration and interpretation of the Peridoctus.
So that’s our story! Thank you for your continued support of Peridots, and stay tuned for more updates on the Peridoctus.
Yours Truly,
PKS